自分のスタイル

19歳の頃、初めて売り込み用のポートフォリオを作る事になりました。その時に色んな絵のスタイルがあった方が良いと言われたのですが、まず自分がどんな絵が描けるのかもまだよくわかりませんでした。周りの先輩たちはぱっと絵を見ただけで誰が描いたのかすぐわかる個性がありました。あの人の絵を見れば、あの画材で描くのいいなぁと思い、この先輩の絵を見れば指で描くのもおもしろいなぁと、人の数だけ画材や描き方があって、その度にどれもいいなぁと思っていました。

このスタイルでやっていこうと決めたわけではありませんでしたが、中学生の頃にステッドラーのカラトアクェレル48色の色鉛筆を買ってもらって、水に濡らして描いたりできるし、学校で使うものよりもたくさんの色があるこの色鉛筆を持っている事で、なんだか絵描きになった気分になるのが嬉しくて、色鉛筆をメインに絵を描いていました。

それから10数年経ち、2種類のスタイルが私にはあります。

1つ目は青を使った絵です。

以前展示をしていた時に、「可愛らしさの中に闇のある絵ですね」と言われたことがあって、なるほどなと思いました。確かに私は可愛いから描く、ということよりも、自分の中にある葛藤とか孤独感を絵にすることが多いので、青い色で絵を描くのはあっているのかもしれないと思い、青は私の中で特別な色になっていきました。

2つめのスタイルは河童です。

もともとは高校の授業中に書いていた落書きで、LINEスタンプが一般の人でも作れるようになった時から描くようになりました。個展の時に、空き時間に紙が余っていたのでミニ絵本を描いて会場に置いていたら、メインで展示している絵より河童に関する感想の方が多かったので、インスタなどにも多く投稿するようになりました。

どちらのスタイルも自分で決めていったというよりは、周りの絵を見てくださる方のおかげで見つけられたという感覚です。もともと言葉でうまく表現できないことを絵に書くことが多かったので、スタイルが2つあることは、その時の気分で描きたいものを分けられるのでとても便利です。

商業用としては、もっと違うものが求められるとおもうのでまだまだ新しいスタイルを見つけていかなければいけませんが、それを見つけるためにも描き続けるのが一番大切なことなんだろうなと思っています。